
「コンパクトながら高性能」と評判のケンウッド「K-521」で、愛蔵のアルバムを聴いていただいた。
思わぬ新発見もあって、大満足
| インタヴュー/文:大塚康一 写真:小嶋秀雄 『THE DIG presents ハード・ロック』掲載 |
どんなシステムでも、大きな音やパワフルな音を出すには、パワーが必要である。しかし、クォリティが伴わなければ、ただの雑音でしかない。例えば、ハード・ロックは音こそ大きいかもしれないが、音楽である限りそのサウンドは綿密に組み立てられている。諸々の理由から自分の部屋で実物大の音量を出せないとしても、全体のバランスを崩すことなく再現し、結果的にオリジナルの音圧まで感じ取れること。そして、そのための高度な技術や斬新な機能は惜しげもなく採り入れるというのが、現代の優れたオーディオ・システムなのだ。
ケンウッドの「K-521」は、iPodからドックコネクター経由で直接デジタル信号を取り出せ、最終段までフルデジタルで処理できる。「Kseries」ではすでにお馴染みのデジタル化で失われた高域成分を補間して原音に近いサウンドを再現する「Supreme EX」、リスニング位置に関係なく最適な状態で聴こえるよう「面」で音を到達させる「CONEQ」(コネックと読む)をミニコンポでいち早く採用。それらは当然、CD再生時にも大きなアドヴァンテージとなって音質に貢献している。
「音の広がりが凄い良いですね。ミニコンポにありがちな、無理にベースをブーストしたような、モコモコしたちゃっちさがないですね」
ROLLYさんが、まず最初にK-521の音を聴いて持たれた印象だ。
パリス『パリス』より「Religion」を聴く。
準備も整い、いよいよ本格的に試聴開始。因みにアルバム解説も、今回はROLLYさん自らがしてくれた。
「1枚目のアルバムは、フリートウッド・マックを脱退したボブ・ウェルチが作った、レッド・ツェッペリン・クローンみたいな、当時鳴り物入りで登場したバンド。でも、ツェッペリンは空間がリアルに感じ取れるのに比べ、パリスは音の隙間がなくてオーヴァー・プロデュースというか……。楽器の一つひとつを味わうには、音が詰まり過ぎているというのを初めて感じたね」
音の隙間が無い多重録音とミキシングがパリスの特徴でもあったのだが、何とその裏側が、K-521で再生することによって見えてきてしまったのだ。実は、パリスはウェルチがパワフルなR&Rをやってみたかったという、実験的なバンドでもあった。後に、彼はAOR路線に転じてソロとなる。
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| 『パリス』 パリス (1975年) |
『STRANGERS』 Blackfoot Sue (1977年) |
『狂乱のライブ』 ジョニー・ウィンター (1976年) |
『ホープ』 クラトゥ (1977年) |
『ROLLY GOLDEN☆BEST』 ROLLY ソニー◎MHCL-1743 (2010年) |
Blackfoot Sue『STRANGERS』より「Came To Believe」「Bye Bye Birmingham」「Repertone」を聴く。
次に聴いたのは、非常にマニアックで誰も知らないのではないかという、英国バーミンガム出身のバンド。
「クイーンに凄く似てるんですけど、それよりも前なんですね、多分。しかし、このアルバムがこんなに良い音だとは今まで思わなかったな。良いオーディオで聴くと、録音状態の善し悪しがよくわかるね」
ジョニー・ウィンター『狂乱のライブ』より1曲目「マカロニ・ボニー」を聴く。
まだジョニーが元気一杯だった頃の、有名なライヴ盤だ。ギブソン・ファイヤーバードをサムピックで弾きまくる、圧倒的なプレイ。
「いつまでたっても終わらないギター・ソロというのを、みんなで聴いてみましょうよ」
そして試聴後、ROLLYさんはこう言った。
「今までこのジャケットの写真を見て、ステージ上から演奏してる姿を想像してたけど、このステレオで聴いた時は客席側にいて、今からステージが始まるんだっていう高揚感を感じたね。スタジアムでの、自分が観客の一人になったような気分に初めてなった。今までは、ステージ上にいたのに」
その臨場感も、面で音を感じるCONEQの成せる技なのかと仰る。
クラトゥ『ホープ』より5曲目「孤独な生命体(The Loneliest Of Creatures)」を聴く。
クラトゥとは、映画『地球が静止する日』に出てくる宇宙人の名前だ。デビュー当時は、「元ビートルズのメンバーによる覆面バンド」というセンセーショナルな売り文句で話題となったバンドである。実はカナダ出身の3人組で、オリジナル・メンバーが20数年振りに再結成する噂もある。ここで、Supreme EXをON/OFFしながら、その効果もチェックしてみた。
「ONだと、プレゼンスに味の素ひと振りという感じですね(笑)。常に入れときたいですね。このセカンド・アルバムの『ホープ』が凄いんですよ。ロック史上に残る名演というか。最後にクラトゥ聴いて良かったね」
確かに、スケールの大きい演奏もさることながら、音質もなかなか素晴らしいものであった。ビートルズ云々の触れ込みは、あながちオーヴァーではなかったのかも。
「私の時代はステレオが凄く重要なもので、正座して聴いたもの(笑)。実家では良い音を爆音で聴いてましたが、今はマンションという住宅事情もありましてね……。しかし、このコンポはバランスが本当に良い感じで取れていて、大きな音を出さなくてもいい。今の環境にもピッタリで、これはもう帰りに買ってくかという(笑)」
ところで、当日の試聴にはケンウッドの新しいポータブル・レコーダーMedia keg「MGR-E8」も参加。左右のマイクにセンターの2ウェイ・マイクを加えた、独自の3マイク構成による高性能レコーダーだ。試し録りしたデータは、楽器のリアルな音色と、その場の空気感までも捕らえていた。
「リハーサル・スタジオなんかでも、これで音を録ってチェックしたりできますよね」
近々、ケンウッドの最新レコーダーとコンポを活用した、ROLLYさんの新作が登場するかもしれない。






