• 2013年1月8日

ケンウッド・フラッグシップ機の歴史を受け継ぐ“最高級実戦機”
HF/50MHzトランシーバー「TS-990」シリーズを新発売

 株式会社JVCケンウッドは、ケンウッドブランドより、 “最高級実戦機”HF/50MHzトランシーバー「TS-990」シリーズを2013年2月末に日本をはじめ全世界で発売します。
*本機を使用するには、アマチュア無線の免許が必要です。「TS-990S」・・・2アマ免許以上、「TS-990D」・・・3アマ免許以上の資格。


品名 型名 希望小売価格(税込) 発売時期
HF/50MHzトランシーバー(200W) TS-990S 798,000円 2013年2月末
HF/50MHzトランシーバー(50W) TS-990D


  • 「TS-990S/D」


●企画背景と製品の概要

 当社はこれまで、HF帯アマチュア無線機のフラッグシップモデルを、1973年に登場した「TS-900」を皮切りに、「TS-930」「TS-940」「TS-950」と発売してきました。新商品「TS-990」シリーズは、フラッグシップモデルの歴史を受け継ぎ、HF帯アマチュア無線機市場に向けて、特にトップクラスのDX’erをターゲットとして開発しました。

 「TS-990」シリーズは、異なるバンドでの二波同時受信に対応するデュアル・レシーバーを搭載。そのメイン受信部は、フルダウンコンバージョン構成とし、新開発のミキサーや狭帯域ルーフィングフィルターを採用することで、第3次インターセプトポイント+40dBmクラスの性能を実現。シリーズ最高の受信基本性能を達成しました。また、32bit浮動小数点演算DSPを3個搭載、進化したDSP技術で実現した独自のIF AGC制御など、先進の技術でHF機において真に求められている高次元の受信性能を実現しています。ファイナルアンプには50V駆動POWER MOS FETを採用し、200ワットの高出力でも安定した歪みの少ない運用が可能です。さらに世界初※1デュアルTFTディスプレイ搭載により、バンドスコープ機能をはじめ、オーディオスコープ、Sメーター表示など快適な視認性、操作性を実現しています。

※1:デュアルTFTディスプレイ搭載は世界初。2013年2月末発売予定、HF/50MHzトランシーバーとして、2013年1月8日現在(当社調べ)


●【ご参考】ケンウッド・フラッグシップ機の歴史

・1973年発売「TS-900」(当時最高の技術を駆使した歴史に名を残すオールバンドSSBトランシーバー)

・1982年発売「TS-930」(当時世界初、アマチュア無線用自動同調アンテナチューナー内蔵HFトランシーバー)

・1985年発売「TS-940」(サイクル22のパイルアップを勝ち抜いた、高ダイナミックレンジHFトランシーバー)

・1989年発売「TS-950」(当時世界初、DSPを内蔵。デジタルの先駆けとなったHFトランシーバー)


■「TS-990」シリーズの主な特長

●受信部の特長

1.すべてのアマチュアバンドでダウンコンバージョン方式を採用(メイン受信部)

「TS-990」のメイン受信部は、すべてのアマチュアバンド受信時に第一IF周波数8.248MHzのダウンコンバージョン方式を採用。従来のアップコンバージョン方式では成しえなかった優れた近接ダイナミックレンジ特性を実現しました。妨害波が近接周波数であっても、ほぼフラットなダイナミックレンジ特性を維持し、目的の信号のみを逃がさずキャッチできます。


2.IP3+40dBmの達成に貢献する新開発のミキサー(メイン受信部)

メイン受信部の心臓である第一ミキサー回路に、新開発の“Double Balanced Grounded Switch Typeミキサー”を搭載。第一ミキサーまでの信号経路には、大入力信号による歪みの発生を防ぐため、大型コアのトロイダルコイルの採用や、バンドなどの信号切り替えにリレーを用いるなど、選び抜かれた回路と部品群により、第3次インターセプトポイント+40dBmクラスを実現しています。


3.近接妨害除去に真価を発揮する新開発の狭帯域High-IPルーフィングフィルター(メイン受信部)

すべてのアマチュアバンド受信時にダウンコンバージョン方式を採用するとともに、5種類のHigh-IPルーフィングフィルターを実装しています。CW(モールス符号)運用で頼りになる500Hz、 270Hzの狭通過帯域幅はもちろん、SSBで使用される2.7kHz、AM/FMに適した6kHz、15kHzをカバーします。これらのフィルターは、DSPによる最終通過帯域幅設定と連動して自動的に選択。また、手動切り替えも可能です。


4.高い周波数を分周し高C/Nを実現する新開発のVCO分周型第一局発

本機の局発回路は、メイン受信部用:「VCO分周型/DDSダイレクト」、サブ受信部用:「DDSダイレクト」、送信部用:従来型PLLと、対象となる信号系に合わせて独立した構成となっています。今回メイン受信部の第一局発に採用した新開発のVCO分周型方式は、VCOを目的周波数よりも高い周波数で発振させ、それを分周することによってDDSダイレクト方式に迫る良好なC/N 特性と、PLL 方式の特長であるスプリアス(不要輻射)の少ない局発信号を実現します。局発の低雑音化、高C/Nレシオで目的信号をノイズに埋もれさすことなく、ピュアな状態で第一IFに変換可能です。


5.高い安定性と消費電力削減を両立した±0.1ppmのTCXOを実装

基準信号源として周波数安定度±0.1ppmのTCXO(温度補償型水晶発振器)を標準で搭載しました。高い周波数安定度でありながら、OCXO(温度制御型水晶発振器)のような予熱時間は不要なため、電源オフの状態からでもすばやい起動が可能です。ヨーロッパの省エネルギー規格Lot6に準拠。待機時省電力モードでの消費電力は0.5W以下を実現しています。また、10MHzで基準信号の入出力が可能です。


6.21MHz帯以下の主要アマチュアバンドで、ダウンコンバージョン※2(サブ受信部)

サブ受信部には発売以来、クラスを超えた受信性能が好評な「TS-590」の受信部をさらにブラッシュアップして搭載。とくにフロントエンドには主要アマチュア5バンドでダウンコンバージョンが可能な回路構成を採用しているため、サブ受信部でありながらも“実戦的な”運用ができます。

※2:1.8/3.5/7/14/21MHz帯でIF帯域が2.7kHz以下のとき(SSB/CW/FSK/PSK)


7.メインとサブの受信部、バンドスコープに専用DSPをトリプル搭載

<トリプルDSP>

3個のDSPを各主要ブロックに配置。メインIF、バンドスコープ、サブIFなどの信号処理を分散して分担させることでゆとりあるデジタル信号処理を実現します。(FMモードはAF DSP処理)


8.デジタルとアナログを融合させた先進のAGC(Auto Gain Control)制御

SSBやCWの受信音質はオーディオの周波数特性やフィルターの遅延特性だけで決まるものではありません。AGC特性もきわめて重要な役割を担います。多くのファンからの「長時間ワッチしていても聞き疲れしない」という評価は、ケンウッド無線機のAGCならではの特性です。「TS-990」ではDSPのAGC制御アルゴリズムだけでなくアナログAGC部も合わせて進化させ、“ケンウッドトーン”にさらなる磨きをかけています。


9.多彩な混信除去・ノイズ除去機能

IFフィルター帯域可変、IF フィルターのA/B/Cワンタッチ切り替え、IFノッチ、バンドエリミネーションフィルター機能、デジタル/ アナログ2 方式を搭載したパルス性ノイズを低減させるノイズブランカー機能 (NB1/NB2)、ノイズリダクション機能(NR1/NR2)などを搭載しています。


●送信部の特長

1.200Wでの安定運用を約束する高信頼設計

<VRF150MP>

50Vで動作するPOWER MOS FET 「VRF150MP」をプッシュプルで使用。200Wの高出力を、すべてのバンドで安定して得られます。このFETの特性を余すところなく生かすためにバイアスやマッチング条件を追求し、優れたIMD(相互混変調歪み)特性を実現しました。DSPが生み出すクリーンな変調信号をリニアリティの良いアンプで増幅することにより、定評のある“ケンウッドトーン”を実現します。


2.高速動作が可能なオートマチックアンテナチューナー内蔵

1.8 MHz から 50MHzのアマチュアバンドをカバーし、受信時にも動作可能なプリセットタイプのオートアンテナチューナーを内蔵。高速動作で定評があるリレー方式により、瞬時のバンドチェンジによる迅速なQSY(周波数・バンドの変更)が可能です。リレー、コンデンサー、コイルなどは200Wの大電力に耐える、大型の部品を使用しています。


3.各ユニットに充分な風量を送るクーリングシステム

200Wの出力を安定して得るには、クーリングが非常に重要です。本機では大型のアルミ製ヒートシンクによるフィンタイプ構造で放熱効率を向上。さらにスイッチング電源、ファイナル部、アンテナチューナー用に独立した速度可変のファンを設け、各ユニットを充分な風量で冷却します。なお、スイッチング電源、ファイナル部はツインクーリングファン構成。温度検出により回転数を制御することで、静音性を高めています。


●世界初※1デュアルTFTディスプレイ搭載

1.視認性の良いデュアルTFTディスプレイ搭載

本機正面に世界初※1デュアルTFTディスプレイを搭載。快適な視認性と操作性を実現しました。

<Dual Display>


2.目的信号の周囲を監視できるメインディスプレイ

7インチTFTメインディスプレイは周波数、モード、メーターなどの基本情報、各種付属機能のON/OFF状態などを表示。また内部パラメーターの設定やメモリーリストの表示なども行えます。さらにバンドの状況を監視できるバンドスコープ機能を搭載。DSPによるFFT処理で高速スイープを実現します。またウォーターフォール表示をはじめ、さまざまな表示に切り替え可能です。


3.目的信号自体を監視するサブディスプレイ

3.5インチTFTサブディスプレイをメインツマミ上に配置し、周波数読み取りの視線移動を最小化するだけでなく、復調オーディオスペクトラムを表示することで目的信号そのものを監視できます。


●優れた操作性の実現

1.直感的な操作ができる新周波数ファンクション

従来VFO A/VFO B を切り替えていた周波数ファンクションを、メインバンドとサブバンドの切り替えで実現。メインダイヤルツマミ上部にあるサブ側のRX(受信)キーでサブ受信のON/OFF、TX(送信)キーでシンプレックスとスプリットの切り替えが可能です。さらにLEDの点灯で現在の状況がひと目でわかります。


2.クイック設定ができる新スプリットファンクション

従来シリーズと同様にM>S とM/S による設定に加え、2アクションのクイックなスプリット設定が可能です。


3.スプリットやサブ受信状態もメモリー可能

最大120ch のメモリーを用意。レピーター周波数に加え、ビーコンや放送局のプリセットが可能です。さらにデュアルチャンネルメモリーにより二波同時受信の状態の呼び出しも簡単にできます。


4.PCから「TS-990」シリーズを遠隔操作

「ARCP-990」(ラジオコントロールプログラム)によって、ほぼすべての機能がPCでコントロールできます。各種機能設定やメモリーチャンネルの管理などもPCから可能です。なお、関連するアプリケーション(無償)は、当社Webサイトから、発売後ダウンロードできます。

*対応OS:XP(32ビット版 SP3以降)、Vista( 32ビット版 SP2以降)、Windows 7 (32ビット版/64ビット版)


5.外部入出力の切り替えに対応したDATAモード

マイク端子に加え、背面パネルにアナログオーディオ入出力、USB オーディオインターフェイス、光デジタルインターフェイスと多彩な入出力インターフェースを配置。これらをSSB/FM/AMの各モードでDATAモード(1〜3)と組み合わせることで、変復調用の外部機器を簡単に切り替え可能です。またDATA VOX 機能、変調ラインごとのミュート切換え機能なども装備しています。

<背面パネル>


6.フロント配置のUSB端子×2で利便性を向上

7.USBメモリー/USBケーブルによるファームウェアアップデート

■主な定格「TS-990S/D」

送信周波数範囲 160m band 1.810 〜 1.825, 1.9075 〜 1.9125 MHz
80m band 3.500 〜 3.575, 3.599 〜 3.612, 3.680 〜 3.687 MHz
3.702 〜 3.716, 3.745 〜 3.770, 3.791 〜 3.805 MHz
非常連絡設定周波数 4,630 kHz
40m band 7.0 〜 7.2 MHz
30m band 10.1 〜 10.15 MHz
20m band 14.0 〜 14.35 MHz
17m band 18.068 〜 18.168 MHz
15m band 21.0 〜 21.45 MHz
12m band 24.89 〜 24.99 MHz
10m band 28.0 〜 29.7 MHz
6m band 50.0 〜 54.0 MHz
受信周波数範囲 0.13 〜 30 MHz, 50 〜 54 MHz
(VFOは30 kHz 〜 60 MHz を連続動作)
電波型式 A1A(CW),  A3E(AM), J3E(SSB), F3E(FM), F1B(FSK), G1B(PSK)
周波数安定度 ±0.1 ppm 以内 (0 ℃ 〜 +50 ℃)
アンテナインピーダンス 50 Ω
アンテナチューナー整合範囲 16.7 〜 150 Ω
標準電源電圧 AC 100 V (50/60 Hz)
電源電圧範囲 AC 90 V 〜 132 V / 180 V 〜 264 V
消費電力 送信時最大 720 VA 以下
受信時(無信号時) 120 VA 以下
使用温度範囲 0 ℃ 〜 +50 ℃
外形寸法 突起物含まず W 460 x H 165 x D 400 mm
突起物含む W 460 x H 182 x D 449 mm
フロント足 高位置時 H 201mm(前面パネル)、 H 173mm(後面パネル)
質量 約 24.5 kg
定格送信出力 CW/SSB/FSK/PSK/FM (AM) TS-990S:200 W (50 W), TS-990D:50 W (50 W)
変調方式 SSB:平衡変調, AM:低電力変調, FM:リアクタンス変調

*記載されている会社名および商品名は各社の商標または登録商標です。


●新規オプション:外部スピーカー「SP-990」

<SP-990>

<SP-990/TS-990S組み合わせ>

希望小売価格\21,945(税込み)

・フルレンジスピーカー(5W 8Ω)

・フィルター(High Cut, Low Cut 各3種類)搭載

・A/B 2系統入力、ミュート機能搭載

・サイズ:W 200×H 165×D 300mm
 (突起物含まず)

・質量:2.8kg


本件に関するお問い合わせ先

  • 【報道関係窓口】
  • 株式会社JVCケンウッド ブランド戦略推進統括部 宣伝・パブリシティ担当
    TEL:045-444-5310 報道関係窓口お問い合わせフォームはこちら
  • 【お客様窓口】
  • JVCケンウッドカスタマーサポートセンター
    TEL:0120-2727-87(フリーダイヤル)/携帯電話・PHS・IP電話:045-450-8950

<本資料の内容は報道発表時のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。>


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