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発行日:2003年12月26日

ニュースリリース

<無線ビジネスに関するお知らせ>


当社製無線機が国際宇宙ステーション・アマチュア局で本格運用を開始
露ミールに続いて、高い信頼性、多彩な機能、優れた操作性が採用の決め手に

株式会社ケンウッド(社長:河原 春郎、本社:東京都八王子市)が開発したアマチュア無線機が、このほど国際宇宙ステーション・アマチュア局の設備として採用され、本格運用を開始しましたのでお知らせします。

1.当社製アマチュア無線機が国際宇宙ステーションに採用された経緯

国際宇宙ステーション(the International Space Station:以下ISS)では、宇宙という特殊な空間で勤務する宇宙飛行士の心理的な安定を保つとともに、地上の子ども達に対して宇宙や無線に関する教育をうながす目的で、アマチュア無線による地上との交信が認められています。ただし、ISSに持ち込む物品は、火災や有毒ガスなどによる事故を防ぐために材質や保護機能などについて、ISSに関するロシアのパートナー・エネルギア(Energia)とアメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:以下NASA)の厳しい基準をクリアしなければなりません。また、ISSは無重力であるため、放熱を自然対流に頼る構造のものは使用できません。これらの条件をクリアするのはもちろんのこと、かつてロシアの宇宙ステーション・ミール(MIR)にも採用されたことのある、当社製アマチュア無線機の高い信頼性、多彩な機能、優れた操作性が、ISSにおけるアマチュア無線局設備の開発・運用を担うARISS(Amateur Radio on the International Space Station)に評価され、ISS・アマチュア局の設備として採用されることが決まりました。
ISS・アマチュア局で使用される機器は、宇宙飛行士にアマチュア無線経験が少ない場合でも高度な運用を簡単に行えるよう、「TM-D700E」という市販製品を仕様変更したものです。ISSに搭載されたのは1台ですが、ISSと同じ環境を地上に再現し、軌道上での新しい無線システムの運用をサポートするためものものと、アメリカやロシアの宇宙基地で宇宙飛行士やARISSのメンバーが訓練・試験目的で使用するものをあわせると、同規格・同等性能の機器が合計で15台必要になります。当社ではそれらをすべて無償提供しました。
ISSで使用する機器は、今年8月29日にバイコヌール宇宙基地(カザフスタン共和国)からソユーズロケットで打ち上げられたプログレス宇宙船で運搬済みですが、この度、運用を開始する前の最終的な確認試験を無事に完了し、本格運用が開始される運びとなりました。


2.国際宇宙センターとアマチュア無線の関係

ISSは地上から約400km上空に建設中の有人施設で、1周約90分の速度で地球を周りながら地球や天体の観測、各種実験・研究などが行われます。アメリカ、ロシア、日本、欧州、カナダが共同で1998年に建設を開始し、2008年以降に完成する予定です。
アマチュア無線による地上との交信は、3〜4ヶ月交替でISSに滞在する3人(現在は暫定的に約6ヶ月で2人)の宇宙飛行士の心理的な安定と、地上の子ども達に対する教育の一環として、NASAをはじめ、各国の宇宙機関で認められています。現在は、ISS共同開発国のアマチュア無線家によるARISSプロジェクトによって、ISSにおけるアマチュア無線局設備の開発・運用が進められています。


3.当社におけるアマチュア無線事業

当社におけるコミュニケーションズ事業(無線事業)は、ホームエレクトロニクス事業とならんで、当社でもっとも歴史のある事業です。1946年12月に有限会社春日無線電機商会として創業した当社は、高周波コイルを中心とするラジオパーツの製造を手がけていましたが、これはやがてFMチューナーや無線機の開発・製造へと発展しました。現在、当社のコミュニケーションズ事業は業務用無線分野が中心ですが、かつてはアマチュア無線分野が主力で、アマチュア無線ユーザーの皆様からは高い評価をいただいておりました。その実績が認められて、1995年にはMIRに当社製アマチュア無線機(TM-733A)が装備されました。その後、携帯電話の台頭、普及などにともなってアマチュア無線市場が縮小を続ける中、アマチュア無線による静止画像の双方向伝送を可能にした「ビジュアルコミュニケーター(VC-H1)」(1998年春発売)や、アマチュア無線局と公衆電話網の相互通信を可能にした「テレホンインターフェース(KTI-12)」(1998年夏発売)を開発するなど、当社は引き続きアマチュア無線分野に注力してきました。そして、今月初めには、コンパクトながら大型機クラスの性能を搭載したHF/50MHz帯オールモードトランシーバー(TS-480)を発売し、アマチュア無線業界に話題を呼んでいます。


【参考】
宇宙飛行士がISS上でアマチュア無線機を用いて行う交信は下記の3種類です。

(1) 学校交信(スクールコンタクト)
子ども達に、宇宙開発、通信技術に対する関心をうながすとともに、アマチュア無線の楽しさを体験してもらうために、学校の児童・生徒と宇宙飛行士が交信を行うものです。全世界の学校から交信希望を受け付けて審査を行い、ARISSによって軌道条件や宇宙飛行士の勤務時間を考慮して交信校と交信時間が決められます。交信は勤務時間内に行われます。
スクールコンタクトの申し込み方法などはARISSのホームページで紹介されており、JARL(日本アマチュア無線連盟)が日本の窓口になっています。
JARL :ariss@jarl.or.jp
ARISS日本語サイト:https://www.jarl.or.jp/ariss/
ARISS英語サイト:https://www.rac.ca/ariss/

(2)

宇宙飛行士が希望する相手との交信
宇宙飛行士が希望する地上のアマチュア相手局と交信を行うものです。宇宙飛行士の希望に添えるようARISSによって交信日時が決められます。交信は勤務時間内に行われます。

(3)

一般交信
地上で行われている交信と同様に、応答してきた局と交信するものです。ARISSは直接関与せず、交信は余暇時間に行われます。


本件に関するお問い合わせ先
  株式会社ケンウッド 経営戦略統括部 TEL 0426-46-6724
  広報室 能勢(のせ) FAX 0426-46-1440
E-mail: pr.qa@pr.kenwood.co.jp

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Updated 2003/12/26 (C) 2003 KENWOOD Corporation